不眠症は、他の病気が原因となって生じる場合もあります。
このような理由で不眠症となる場合、生活習慣の改善や睡眠薬の服用などで不眠を解消しようとしても、うまくいかない場合があります。不眠を招いている根本的な原因に対処できていないわけですね。
ここでは、不眠症を招く恐れがある代表的な病気について解説します。心当たりのある方は、不眠の原因となっている病気にしっかりと対処するようにしましょう。
不眠を招く病気① うつ病などの心の病気
不眠症は精神的なものが原因となっている場合が多く、うつ病などの精神的な病気の場合、不眠に悩まされることが多くなります。
例えばうつ病の場合は、うつ病に罹っている人のほとんどは、夜中や早朝に目が醒めてしまったり、寝付きが悪いなどの睡眠の問題を抱えています。他にも、不安障害、パニック障害、統合失調症、PTSDなどの心の病気も、不眠を招く場合が多くあります。
このような心の病気が原因で不眠となっている場合は、病院での治療や不安を和らげる薬を服用するなどして、不眠と付き合っていくことになります。
不眠を招く病気② 体の痛みやかゆみを伴う病気
体の痛みやかゆみを伴う病気では、痛みやかゆみが気になって眠れないということが多くなります。
むずむず脚症候群、周期性四肢運動障害
むずむず脚症候群は、就寝時に脚がむずむずと気になって眠れない病気です。
多くは中年以降に見られる病気で、はっきりとは原因がわかっていません。鉄分不足が原因の1つではないかと言われています。
また、周期性四肢運動障害は睡眠中に脚がカクっと動く病気です。
就寝中に脚がピクピク動くことで、夜中に目が醒めてしまったり眠りが浅くなったりしがちです。
むずむず脚症候群や周期性四肢運動障害は、症状を和らげる薬もありますので、心当たりのある方は病院で診てもらいましょう。
逆流性食道炎
逆流性食道炎とは、胃液が逆流することで、胸焼けや吐き気を催す病気です。特に、横になると胸焼けなどの症状がひどくなり、睡眠が妨げられやすくなります。
逆流性食道炎を和らげるには、脂っこい食事を控えること、夕食と就寝までの時間の間隔を長めに取ることなどがあります。
また、コーヒーや紅茶、緑茶などは胃に負担がかかりやすいので、飲み過ぎないようにしましょう。
(紅茶にミルクを入れると、胃を刺激するタンニンが中和されるのでオススメです。)
寝る時の工夫としては、背中の下にタオルを敷くなどして、上半身を頭に向かって徐々に高くするようにすると、逆流性食道炎の症状を和らげることができます。
不眠になるほど逆流性食道炎の症状がひどい場合は、病院で薬をもらうことで、胃酸の分泌を抑えることができます。
関節炎、関節リウマチ
関節炎や関節リウマチなど、睡眠中に関節が痛む病気も、不眠を招きます。
実に関節リウマチの患者さんの3分の2は不眠を訴えているというデータもあるほど、関節炎は不眠症を招きやすい病気です。
また、関節炎の治療としてステロイドを服用する場合がありますが、このステロイドにより、不眠が悪化している場合もあります。
アトピーなどの皮膚炎
アトピーなどにより、かゆみが強くて眠れないという場合も多くあります。
アトピーなどの場合は、痒くて寝付けないということだけでなく、睡眠中もかゆみがあり体を掻いているため、眠りが浅くなりがちという問題もあります。
不眠を招く病気③ 内分泌や神経の病気
糖尿病
糖尿病はそれ自体が深刻な問題を生じるというよりも、糖尿病により他の病気を起こしやすくなることが問題です。
例えば、糖尿病が原因となって周期性四肢運動障害などの病気が生じ、不眠になる場合があります。
他にも、頻尿になり目が覚める回数が増えるということもあります。
また、糖尿病の人は肥満の方が多いので、睡眠時無呼吸症候群にもかかりやすくなります。
睡眠時無呼吸症候群にかかると、呼吸が浅くなるために脳に酸素が十分に届かず、眠りが浅くなってしまいます。
喘息
喘息を患っている患者さんの75%は、夜中に何度も目を醒ますという研究結果があるように、喘息の患者さんは睡眠が満足に取れない傾向にあります。
それは、呼吸がしにくくなることだけでなく、発作に対する恐怖によって不眠になる場合もあります。
喘息は薬によってある程度コントロールすることもできますが、喘息の薬によって不眠になっているケースもあります。
その他の病気
内分泌系や神経の病気で、不眠を招くものは、上で挙げた以外にも多くあります。
例えば、パーキンソン病やてんかん、アルツハイマー、腎臓の病気などにより、不眠症になる場合があります。
以上、不眠を招く病気をいくつか紹介しました。
他にも、病気が原因で不眠となっているケースは多々あります。もしかして眠れないのは病気のせい?、と思ったら、お医者さんに相談してみましょう。
また、病気の治療薬が不眠を招いている場合もありますので、一度お医者さんに聞いてみるといいですね。